同社のユニークかつ多様な商品ラインナップは、全スタッフ参加型の「アイデアミーティング」を年3回実施し、会社を挙げ、日々、アイデア創出に取り組んでいる賜物でもある。正社員、パート、部署にかかわらず、全員で数人ずつの班をつくり、週1回のミーティングを4カ月間実施。班ごとにまとめたアイデアを発表し、全員で採点し、高評価のアイデアについて商品化の検証に入る仕組みだ。
13年からスタートしたこの取り組みにより、「全員が常にどんなものが売れるのかという意識を持つようになり、日常生活で感じたことをアイデアとして仕事に生かそうという習慣が根付いてきました」と和佐野氏。部署の壁を超えたコミュニケーションの活性化、チームワークの向上にもつながっているという。
アイデア発表会で
発想力の底上げを実現
●株式会社池田工業社 事業内容/玩具・雑貨の企画・製造・卸、従業員数/35人、売上高/10億3466万円(2021年度)、所在地/奈良県宇陀市榛原萩原2460、電話/0745‐82‐0070、URL/yamaine-ikeda.co.jp
形骸化することなく10年間継続しているのは、ミーティングは必ず就業時間内に実施し、営業担当が忙しい時期は外し全員参加を徹底するなど、長続きする仕組みを構築しているのもポイントだ。
少子化による国内市場縮小など課題はあるが、「食べることのできるしゃぼん玉が数カ国への輸出の話が進むなど、日本製品の安全性に対する信頼と関心の高さに気付きを得ました」と和佐野氏。地政学リスクに備える意味でも、主流の中国での生産に加え、国内生産、さらに自社で製造ラインを持つことも視野に入れ、日本製を武器に海外市場にも積極的に打って出る戦略を描く。
また、ゲームなど仮想空間での遊びが台頭する一方で、子どもたちに自然や地球の素晴らしさを感じてほしいという思いは高まっていくのではとみる。同社では、「子どもたちを外に連れ出すこと」を社会に与えられたミッションとし、世界中の子どもを笑顔にする商品を提案していく構えだ。
(「しんきん経営情報」2023年4月号掲載、協力/大和信用金庫)