2人で遊んでパクパク食べよう!――そんな斬新なキャッチフレーズをうたう、食べられる素材で作ったしゃぼん玉グッズが話題を呼んでいる。その名も「パクッと食べよう! しゃぼん玉」。提供するのは奈良県宇陀市の玩具・雑貨の企画・製造・卸を手がける池田工業社だ。(取材・文/大沢玲子)
同社は1902(明治35)年創業。農機具製造販売からスタートし、「農機具の端材で作った虫かごを全国に売り歩いたのを機に、『虫かごと一緒に子どもが遊べるものを』というお客さまの声に応える形で、水鉄砲やしゃぼん玉など、季節玩具を展開するようになりました」。代表取締役社長の和佐野達也氏はそう語る。
こだわりは、創業時から受け継ぐ顧客に徹底して向き合う姿勢と柔軟かつ斬新な企画力。「『こういうのがあったらいいな』という、ニッチな消費者ニーズに小ロットで対応できるのも小回りの利く当社ならではの強みだと考えています」と和佐野氏。例えば水鉄砲では男児向けのシャープなデザインが主流だが、「女の子も水鉄砲で遊びたいはず」と、ゾウの形やバナナ形などの水鉄砲を開発し、人気のカテゴリーに定着する。
ファブレス経営により
多様な商品企画を進める
自社で製造せず、国内外100社以上の取引工場に委託するファブレス経営を実践しているのも、遊び方が多様化する中、製造設備にとらわれない商品企画を進められる強みにつながっている。
オリジナル商品は雑貨なども含め約500点にも上るが、「パクッと食べよう!しゃぼん玉は、いわば玩具と食品を掛け合わせるという今までにないチャレンジとなりました」(和佐野氏)。
2021年、大手量販店のバイヤーから寄せられた「食べられるしゃぼん玉を作れないか」という声に応え、玩具業界のネットワークを超え、奈良県内の製薬会社と共同で開発。1年以上かけ、泡をパクッと食べても安心のしゃぼん玉が完成。また、従来、中国を中心とする海外生産を軸としてきたが、今回は国内企業との提携により、生産も日本で実施。「MADE IN JAPAN」のブランド力で、海外からも多くの引き合いが寄せられている。