米国のインフレは終わったのだろうか。3月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が前月比でわずか0.1%にとどまったとの政府発表を受けて、市場関係者らは12日朝方、安堵(あんど)のため息をついた。ホワイトハウスも同調し、「インフレ率は昨年夏のピークから45%低下した」という、アイルランドを訪問中のジョー・バイデン大統領の自画自賛の声明を発表した。都合のいい比較対象期間を選びさえすれば、統計数値を使ってどんな主張も正しく見せられるということを、われわれの読者は理解している。そもそも2021年秋からインフレ率が急上昇したのはなぜなのか。ホワイトハウスはその点には触れたくないようだ。インフレ率が前月比で昨年6月に付けたピークの1.2%から、また前年同月比でピークの9%超からそれぞれ低下しているというバイデン氏の指摘は正しい。しかし、物価はそれでも前年同月比で5%上昇しており、大半の米国人にとっては勝利と受け止められるものではないだろう。食品とエネルギーを除外した、いわゆるコア物価指数は前月比0.4%上昇し、4カ月連続で同率ないしそれ以上の上昇となった。前年同月比では5.6%の上昇だ。エネルギーを除外したサービス価格は前年同月比で7.1%、輸送サービスは13.9%上昇した。
【社説】米インフレはまだ終わっていない
消費者物価上昇率はピークから下がってきているが、コア指数は高止まり
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