台湾有事のリスクを巡り、米中の間でバランスを取ろうと腐心する欧州諸国が、明確な立場を示さないでいることは極めて困難になりつつある。エマニュエル・マクロン仏大統領は先の訪中で、台湾問題について欧州連合(EU)は米国の方針に従うべきではないと発言。米国や欧州諸国の一部から批判を浴びた。また今回の発言を受けて、台湾危機に備えた域内の共通戦略の策定に関して、EUがいかに高官レベルの協議に及び腰になっているかも露呈した。台湾問題を巡って米中の緊張が高まる中においても、欧州は台湾に関する政策を策定するには至っていない。昨夏のナンシー・ペロシ前米下院議長の訪台に続き、最近では蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が訪米し、中国は激しく反発した。来年1月に控える台湾総統選で独立を巡る議論が再燃すれば、中国をさらに刺激しそうだ。