上海でフィットネストレーナーをしていたダニエル・フアンさんは1月、コロンビア沖の荒れた海を夜間に横断する高速ボートの中にいた。中南米経由で米国に入国しようとした自身の決断を後悔し始めていた。打ち寄せる波でびしょ濡れとなり、すし詰め状態のボートが転覆するのではないかと心配した。パナマ側の海岸にたどり着けそうになかったら父親に送る別れのメッセージを携帯電話で入力したという。パナマでは、ジャングルを歩いて移動する試練が待っていた。習近平政権下の中国では、同国を脱出し、摘発や溺死の危険のほか、強盗の被害に遭うリスクを冒しながら、約8カ国を経て米国南部の国境を目指す中国人が急増している。フアンさんもその一人だ。ベネズエラやキューバなどの国々を逃れる数十万人の人たちと同じ道をたどっている。
米国目指す中国人急増 危険顧みず中南米経由
経済機会や政治的な自由を求め、母国逃れる決意固く
有料会員限定
あなたにおすすめ