インドのモンスーンは、国民14億人分の食料確保に降雨量が大きく影響するこの国にとって不可欠な経済指標だ。食品価格が緩みつつあるにもかかわらず、食料の輸出規制が厳しくなっている状況では特に、天候不順は一国の政府を転覆させ、世界の食料安全保障を脅かす可能性がある。米国とオーストラリアの予測では、2023年にエルニーニョが発生する可能性が高まっている。エルニーニョは、雨を降らせるモンスーンの雲をインドから遠ざける周期的な気象現象で、これまでも食料生産に打撃を与えてきた。モンスーン期の降雨量が例年を下回ることは、世界の食料安全保障とインフレに対する脅威としてあまり認識されていない。特にインドでは総選挙が迫っており、穀物の輸出を制限する政治的圧力が強まる可能性がある。