TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』で「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授! ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!
※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
たんぱく質と脂質は「必須」
「糖質は必須の栄養素だから糖質制限は危険」というのは明らかな間違いです。
3大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)のうち、たんぱく質には必須アミノ酸、脂質には必須脂肪酸があります。
なぜ「必須」とつくかというと、これらは体内で自ら作ることができないため、日々の食事から摂取する必要があるからです。
糖質は必須じゃない
一方、“必須糖質”というものは存在しません。糖質は必須ではないからです。
必要な糖質(ブドウ糖)を体内で自ら作り出す糖新生(とうしんせい)という仕組みが備わっていますから、糖質制限をしても健康に悪影響はないのです。
糖質を体内でコントロール
ここで、ポイントとなる糖新生について詳しく解説しておきましょう。糖質(ブドウ糖)は全身の細胞のエネルギー源です。
血液で酸素を運んでいる赤血球は、ブドウ糖しかエネルギー源にできない細胞ですし、目の網膜(もうまく)細胞や脳細胞も、日常的にブドウ糖を必要としています。
このようにブドウ糖は人体に欠かせないエネルギー源なので、血液中の血糖値が一定の範囲内に保たれるようにコントロールされているのです。
糖質は肝臓で作られる
血糖値が下がったら血糖を補充するため、肝臓に「グリコーゲン」としてブドウ糖の集合体を貯蔵しています(筋肉に蓄えられたグリコーゲンは筋肉専用のエネルギー源なので、血糖値を保つために使われることはありません)。
しかし、肝臓に蓄えられているグリコーゲンはわずか「70~80g」程度しかありません。
これだけの量では血糖値を保てませんから、肝臓は糖新生によって糖質を自ら作り出しているのです。
体内で糖質を自ら作り出す原料
糖新生の原料になるのは、脂質の代謝物であるグリセロール、筋肉から供給されているアミノ酸、乳酸などです。
私たちの体は安静時でもブドウ糖を必要とします。空腹時血糖値は60~100mg/dlに保たれていますが、糖新生は、それ以上のブドウ糖を作り出す能力があります。
また、人体に循環している血液量は約4lありますが、そのなかには約4gのブドウ糖が含まれています。
糖質が必須なら
人類は生き延びられたかった
人類700万年の歴史で、現代のように食べ物に不自由しない飽食(ほうしょく)の時代は、ここ半世紀くらいのことです。いまでも世界の9人に1人、およそ8億人以上が飢餓に苦しんでいます。
もしも“必須糖質”というものが存在し、食べ物から摂らなくてはいけないとしたら、飢餓や絶食が日常的で、いまのように糖質を満足に摂れなかった時代をご先祖様は生き延びられなかったことでしょう。
糖質制限が危険でないワケ
1万年前に農耕が始まって穀物を作り始める前、狩猟・漁労・採集をしていた時代には、たんぱく質や脂質を含む肉や魚介類のほうが手に入りやすく、木の実や果物のように糖質を含む食べ物は手に入りにくかったと考えられます。
そこで肝臓で盛んに糖新生をして、自ら体内でブドウ糖を作り出す機能が発達したのでしょう。糖新生は飢餓や絶食にも対応できるのですから、多少なりとも糖質が入ってくる糖質制限には余裕で対応できるのです。
※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。