脂肪肝で再検査
納得がいかない
「えぇ~、再検査だって。この忙しいのに、面倒くさいなぁ」
健康診断の結果報告書を見て、麻衣子さん(仮名・41歳)はがっくりきた。
引っかかったのは、肝臓にかかわるALTの数値。30以下が適正値らしいが、ちょっぴりオーバーしており、「脂肪肝の疑いあり」とのことで腹部エコー検査を受けるよう書いてあった。
「健診の前日に揚げ物を食べたのが悪かったのかしら。せっかく、1ヵ月前から節制していたのに失敗しちゃったわ」
ランチを食べながら同僚に話すと、「そもそも生活習慣病なんだから、直前だけ取り繕ってもムダなんじゃないの。むしろ、見つかったことに感謝して、生活改善のきっかけにしたら」とクールに諭された。
だが、そんな正論にひるむ麻衣子さんではない。
「悪しき生活習慣の積み重ねがよくないのは分かっているわ。でもね、健康診断を理由に、年に1ヵ月だけでも節制するお陰で、私の健康は保たれているの。もし、それさえもしなかったら、今頃私、倒れていると思う」
言い返すと同僚は、曖昧な笑顔を浮かべ、それ以上は何も言わなかった。
脂肪肝は、がんや心臓病のような、すぐに生命にかかわる病気ではないせいか、危機意識が湧かない。それになんとなく、脂っこい料理が好きでアルコールの摂取量が多い男性がかかる病気というイメージがあり、肝臓がフォアグラ状態になる病気というイメージがあり、自分にはあまり当てはまらないように感じていた。
麻衣子さんは痩せ形ではないが、肥満でもない。お酒は結構好きで、週に1日は同僚と飲みに行くし、家では晩酌を欠かさない。