インドの人口は年内に世界最多となる見通しで、大きな節目を迎えようとしている。中国に匹敵する製造大国として、そして将来的には世界最大の市場として台頭する可能性がある。インドにはその可能性を実現する責務があり、失敗すればその責任を負うことになる。国連が新たに公表した推計によると、インドの人口は2023年半ばまでに約14億2900万人に達し、中国の14億2600万人をわずかに上回る見通しだ。米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、米国と中国で急速に高齢化が進む一方、インドでは25歳未満が人口の4割以上を占めている。だが、バラ色に映る他国との比較もここまでだ。インドは22年に世界五大経済大国の中で最も急速な成長を遂げたが、実質的に消費力を握るのは依然として一部の富裕層に限られる。世界銀行によると、21年のインドの1人当たり国内総生産(GDP)はわずか2257ドル(約30万3200円)で、中国の1万2556ドルを大きく下回った。HSBCによると、インドの裁量的支出は中国よりもはるかに少額で、インドネシアさえ下回る。さらに、インドでは女性の労働参加率が低い上、大家族が主流であるため、賃金労働者が扶養する家族の人数が多い。