「たった1分の音読で、英語がスラスラ話せる。英語4技能も伸びる」。
「そんなバカな！」と思うかもしれないが、事実だ。
今、『1分間英語音読』という本が話題になっている。著者は東進ハイスクール英語科講師の大岩秀樹氏。1分間英語音読とは、「1分と時間を区切り、中学レベルの基礎英文を繰り返す」音読法だ。
音読する英文に英語4技能（Reading・Listening・Speaking・Writing）すべてに欠かせない文法事項が盛り込まれており、「やればやるほど英語力が伸びる！」を実感できる構成になっている。内容の一部を特別公開する（構成：中村明博 初出：2018年5月17日）
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なぜ黙読ではダメなのか？
まずは論より証拠、やってみましょう。
大岩秀樹（おおいわ・ひでき）東進ハイスクール・東進衛星予備校英語科講師
18歳まで英語は苦手教科の代表格で、偏差値は20台。しかし音読との出合いにより、英語力をメキメキ上げ、予備校講師として人生を歩めるほどに。受験生時代に、音読とわかりやすい授業で人生を変えてくれた予備校講師にあこがれ、予備校講師になることを決意。大学生時代は、東進の小中学部講師として指導に励む（大学受験部は学生講師不可）。自分と同じように、音読の有無のような「ちょっとしたところ」でつまずいて伸び悩む生徒の力になるため、ときには自主的に週7日体制をとり、年間300日以上指導にあたった。その後、東進ハイスクールの採用試験を通過し、23歳という若さで東進ハイスクール・東進衛星予備校の映像授業の担当講師に大抜擢。中学生から大学生を対象とする基礎講座のみならず、難関講座も多数担当。その対象の広さで得た経験から、「受験の先にある実社会で必要とされる英語力」を見据えた指導に定評がある。自身の人生を変えた、Reading・Listening・Speaking・Writingという英語4技能すべてに効果を発揮する「本当の音読（能動的音読）」を伝えることに並々ならぬ思いがあり、音読の習慣化により、危機的英語力だった生徒を難関大学に多数合格させている。また、予備校生以外でも「ちょっとしたところ」でつまずく人たちの力になりたいと、執筆活動にも力を入れている。著書に『大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】』（ナガセ）などがあり、学校専用教材も手がけている。
下記の文を声に出さずにゆっくり黙読してください。
I think that eating at home is more economical than eating out.
「外食するよりも、家で食べるほうが経済的だと私は思う」という意味ですが、正確にわからなくても大丈夫です。
次はいよいよ音読の効果を体験していただきます。
今度は音読してください。
I think that eating at home is more economical than eating out.
おわかりいただけましたか。
この英文に限らず、黙読するときは同時に頭の中で和訳のようなもの（I think だから「私は思う」で、eating at home は「家で食べること」かな……のようなもの）を無意識に作っていませんでしたか。
頭の中で日本語訳を考えながら読み進めてしまうので、実際に英語で話しかけられたら、最後まで聞き取れずにパニックになります。
一方、音読をしているときはどうだったでしょうか。
頭の中で日本語の意味を考えたでしょうか。
これが音読のすごい効果の1つなのです。英語に慣れていない人が黙読をすると、無意識に日本語を意識してしまいます。
「英語を聞く（見る）→日本語に訳す→日本語で文意を理解する」では、英語力は身につきません。
英語学習のゴールは、「英語を聞いたとき（見たとき）に、日本語に訳さず英語のまま理解すること」なのです。
下記の英文を見てください。
この矢印のように「戻り読み」で意味を理解していませんか。英語と日本語の語順はまったく異なるので、最初は仕方ないかもしれません。
しかし「戻り読み」では、Listening を制することは不可能です。
外国人との会話が成立しないばかりか、資格試験で高得点も望めません。下記のように前から順に理解する習慣をつけましょう。
もちろん、最初から英語を英語のまま理解するのは難しい。
だからこそ『1分間英語音読』は、「音読する英文に文法の最重要エッセンスを込め、音読すればするほど文法力もアップする」という構成になっているのです。
