インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書だ。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【投資のプロが教える】アクティブファンドを選ぶ際の3つの注意点Photo: Adobe Stock

アクティブファンドはコストに加え、
運用方針や運用成績などをチェックする

 アクティブファンドとは、インデックスを上回る運用成績を目指して運用されるものを言います。

 ファンドマネジャーやアナリストをはじめとする多くの人が、銘柄選定や投資のタイミングに日々の時間を費やしており、運用成績は運用方針やファンドマネジャーの手腕しだいで大きく変わります。このため、同じような運用方針に見える日本株ファンドでも、商品によって運用成績には大きな差がつきます。

 アクティブファンドを選ぶ場合は、コストだけでなく、ファンドの運用方針や過去の運用成績などをさまざまな観点でチェックする必要があります。運用会社やファンドマネジャーを慎重に選ばなければならないという点では、アクティブファンドは手間がかかると言えるでしょう。

アクティブファンドは、
ハイリスク・ハイリターンの運用になりやすい

 またアクティブファンドは、インデックスファンドに比べて組み入れ銘柄数が少ない傾向にあり、数十銘柄程度の銘柄数で運用する場合もあります。銘柄数が少ない集中投資では、「値上がりするときは値上がり率も高いが、下がるときは大きく下落する」、つまりハイリスク・ハイリターンの運用になりやすいのも知っておきたいポイントです。

 なお、アクティブファンドはファンドマネジャーによる企業調査など運用に手間がかかるため、コストはインデックスファンドに比べて高くなりがちなのも特徴と言えます。

 インデックスファンドとアクティブファンドの特徴を知ると、「運用のプロがインデックスを上回る運用成績を目指すなら、アクティブファンドのほうが儲かるのではないか」と考える人が多いかもしれません。

アクティブファンドは、
インデックスファンドに勝てていないものが多い

 しかし、プロが運用するからといって高い運用成績が期待できるとは限りません。それどころか、実はアクティブファンドはインデックスファンドに勝てていないものが多いのです。

 下図は、日本株で運用されているアクティブファンドについて、TOPIXを上回る運用成績を上げたものがどれくらいあったかを調べたデータです。毎年のデータを見ると、過去20年間でアクティブファンドの半数以上がTOPIXを上回ったのは半分の10年だけだったことがわかります。

 アクティブファンドの中には、高いパフォーマンスを出し続けているものもあります。しかし優れたアクティブファンドは多いとは言えませんから、投資する場合は厳選する必要があるでしょう。

(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。