トヨタ自動車のような巨大企業だけが、自動車の未来に両面作戦をとることができる。トヨタは10日、2024年3月期の営業利益が10%増の3兆円になる見通しだと発表した。新型コロナウイルス流行の影響で不足していた半導体の供給が正常化し、納入台数が10%回復することが理由だとしている。利益はそれ以上になるかもしれない。トヨタは慎重な見通しを立てることで知られており、原料費の改善は考慮していない。23年3月期は原料費が逆風となったが、現在は多くの場合にそれほどではない。ファクトセットによると、アナリストのコンセンサス予想は、トヨタの見通しをわずかに上回っている。それでも3兆円は大きな数字だ。米ゼネラル・モーターズ(GM)は今年(暦年)の営業利益予想を110億~130億ドル(約1兆4860億円~1兆7560億円)としている。近年、販売台数で世界首位に立つトヨタの規模に迫るのは、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)だけだ。