3月初旬のある夜、スウェーデン警察は公開捜査番組「アメリカズ・モスト・ウォンテッド」の同国版に、若者2人の写真を放送するよう要請した。2人は首都ストックホルムの北にある街ウプサラで、ライバルの麻薬ギャングを銃撃した容疑者たちだった。その3時間後、銃を持った男たちがセルダル・サリハン氏の自宅のドアをノックした。男たちは、銃撃の容疑者の一人の父親であるサリハン氏を撃ち殺した。サリハン氏の妻とその他の子どもたちは上階にいた。当局が復讐のための銃撃だとみるこの殺人は、ギャングによる複数回にわたる暴力事件の幕開けだった。通常、平和な福祉国家として知られるスウェーデンは、欧州における射殺事件の多発地帯となっている。