英イングランド中部のこの都市で新たな反乱が起きようとしている。「現金を使えない店をボイコットしよう。それはどこ?」。デビー・ヒックスさんは最近の土曜日、町の広場でマイクに向かってそう叫んだ。総勢200人の群衆のうち数人がコーヒーショップやパン屋などいくつかの店名をつぶやいた。「大丈夫。私たちにはできる」とヒックスさん。「まだ遅くない!」産業革命の初期に繊維工がこの地で新型織機をたたき壊してから約200年。現代の反逆者たちが目の敵にするのは、タッチ決済できる銀行カードやスマートフォンの決済アプリといった最新テクノロジーだ。英国では現金の受け渡しが取引に占める割合は15%前後に低下。スピードや利便性に勝るカード払いやスマホ決済に押され気味となっている。ロンドンの一部では、現金は刑務所内で「通貨」として使われるラーメンやタバコのようになっており、物乞いや社会のはみ出し者の間で主に流通している。
キャッシュレス社会に「反乱」 現金派の覚悟
英国では現金が使えない店のボイコットを呼び掛ける運動も
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