インド政府が配布する高校の教科書には長年、建国の父とされるマハトマ・ガンジーの暗殺者についての記述があった。ヒンズー教過激派系の新聞に勤務していた男で、自由のために非暴力で闘った偉大な精神的指導者であるガンジーを「イスラム教との融和提唱者」として敵視していた。今年に入って入手可能となった第12学年向け歴史の教科書改定版では、こうした記述がない。暗殺者としてナトラム・ゴドセの名前には触れているが、人物像や暗殺の動機には言及していない。さらには、ガンジーが75年前、独立後のインド国家の理想像として掲げていた宗教多元主義に対して異議を唱えていたヒンズー教強硬派に関する記述も、全面的に削除されている。