残念ながら、社内には効率化を阻むたくさんの無駄が存在します。
特に無駄なものは会議パワーポイントなどの資料で、これらにかかる時間と労力をいかにして減らすかが、仕事の効率化のカギとなります。
そこで、30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、社内ではパワポも会議もなんらな資料さえもいらない、納得の理由について伺いました。
(編集/和田史子)

書籍『20代が仕事で大切にしたいこと』の著者が教える、パワポも会議も資料もいらない納得の理由とはPhoto: Adobe Stock

社内ではパワポはいらない。
なんなら「資料」すら必要ない

パワーポイントは、資料を美しく見せることに長けたツールですが、仕事をする上では「使う必要はない」と私は考えています。

百歩譲って、クライアント相手であれば、まだパワーポイントを使う意味はあるかもしれません。
クライアントに提出した資料は、クライアントの社内で流通し、部署内での共有材料や上司への説得材料として使われます。つまり「資料を美しく見せること」そのものに意味が出てきます。意思決定の後押しになることもあるかもしれません。

ただ、少なくとも社内資料では、パワーポイントは必要ない。それどころか、そもそも社内では「資料」も必要ない
メール(テキスト)にリンクを貼るだけで十分。これが私の持論です。

・会議をしない
・資料を作らない

これだけで仕事はかなり効率化できるのです。

「さすがに資料は必要でしょう…」と心配する人もいるでしょう。
「資料」というのは、本来、すでにどこかにあるものが大半です。
であれば、わざわざダウンロードしてパワーポイントに貼り付けたり、画像やPDFファイルに変換して添付する必要などありません。
メールに
・データや関連記事のURL
・社内フォルダやデータのリンク

を貼っておけばOK

クリックひとつで常に最新のものにアクセスできるので、こちらのほうが便利です。

社内であれば、メール(テキスト)にリンクでたいていのことは伝わるPhoto: Adobe Stock

会議や資料を求める上司は優秀ではない

会議の主な目的は何でしょう。
おおまかに次の3つに分けられます。

1.情報共有
2.説明
3.アイデアを揉み込むための議論

1.情報共有2.説明テキストだけで事足ります
説明する。許可を取る。そんなことに装飾はいらないのです。

テキスト(文章)でまとめ、メールやチャット・メッセンジャーツールなどを使って送信すればOKです。

忙しい上司であれば、会議に時間を取られるよりも、メールを一本入れてもらうほうが助かります

後でテキストをじっくり読み返し、
「この部分についての詳しい説明と直近の数字が知りたい」
などと次の指示ができるからです。

・「話を聞かせてくれ」などと、いちいち会議やミィーティングなどを求めるかどうか
・「資料を作ってくれ」などと、いちいちパワーポイントなどを求めるかどうか

これは「上司が優秀か、そうでないか」のバロメーターとなります。

会議と資料を求めるかどうかで、上司が優秀かどうかわかるPhoto: Adobe Stock

「自分は、テキストだけでは理解できない。会議をしてくれないと、資料を作ってくれないと理解できない」と言っているのとイコールだからです。そしてそれは、結局「部下の時間を奪っている」ことになります。

もしも会議や資料を求める上司に当たってしまったら、「この上司が優秀ではないのだ」と割り切り、最低限の時間と労力で会議や資料作成にあたりましょう。
時間は、上司のために使うものではありません。本来は社外にある市場のため、お客様のために使うものです。

提案は「簡素」であればあるほどよい

「そうはいっても、上司を説得するには美しい資料のほうがいいのではないか」と考える人も多いでしょう。

しかし、それは誤解です。満を持して提案をすると、かえって通りにくくなるもの。

「提案書」と書かれた表紙のついた、何十枚ものパワーポイント資料を受け取ってしまったら…。

上司の側も、立派な資料を前に「これはじっくりと考えて、イエスかノーかを答えないと」と構えてしまうからです。
そのがんばりがかえって無駄を生んでしまう。おそろしい現象です。

一方、
・テキストだけ
・要点は箇条書き
・口頭で最低限の補足説明をしただけ
の提案
は、意外に通りやすいものです。

装飾のない数行のテキストを見るだけでは、上司は構えることもありませんし、万が一、失敗したときにも「ちょっと検討の時間が足りなかったな」と上司が言い訳する余地を与えることにもなります。
シンプルな提案は、ゴーサインを出すハードルが格段に低くなるのです。

資料作りに時間を費やせば費やすほど、提案が通りにくくなるわけです。こんなに残念な話はありません。パワーポイントを使った資料作成はやめ、簡単なテキストで説明できるようになりましょう。

(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)

飯塚勇太(いいづか・ゆうた)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。