ウクライナでの戦争に伴う根強い経済不安や、状況が今後悪化する一方となるかもしれないとの懸念を背景に、ロシア人たちはここ数カ月、資金を闇市場でドルに替えたり、国外の銀行口座に移動させたりしている。ロシアでは西側諸国による制裁でドルとユーロの利用がほぼ不可能になったにもかかわらず、ウクライナ侵攻後の数カ月で国外に資金が流出した。中央銀行のデータによると、資金流出は開戦前の水準に落ち着くどころか、今年も続いている。国内の経済問題に対する国民の不安や、徴兵を回避するロシア人男性たちが出国していることで、マネーの流出が加速している。ロシアの家計部門が持つ外国銀行預金は開戦以来2倍以上に増え、4月時点で5兆4000億ルーブル(約9兆4220億円)になった。国外の外貨預金口座へのルーブルの月間流入額は、開戦前の水準の5倍以上に達している。