4日、シンガポールで日韓防衛相会談に臨む浜田靖一防衛相と韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相4日、シンガポールで日韓防衛相会談に臨む浜田靖一防衛相(右)と韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相 Photo:JIJI

レーダー照射問題で
韓国側は事実を歪曲

 浜田靖一防衛相と韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相は6月4日、アジア安全保障会議が開催されているシンガポールで約40分会談し、韓国海軍が自衛隊機に火器管制レーダーを照射した問題を巡り、再発防止で合意した。具体策を詰める実務者協議を近く始める。日韓の防衛相会談は、2019年以来およそ3年半ぶりとなる。

 日韓は対立してきた事実認識に関する見解の相違を残したまま、具体策の調整を始める。

 この点に関し、日本国内には保守層を中心に、岸田政権がレーダー照射問題のけじめをつけず、なし崩しで事態収拾を図るものであるとする批判が強く起きている。

 レーダー照射問題とは、日本の海上自衛隊の哨戒機「P1」が18年12月20日、竹島北東160kmの海上で、韓国軍の3900トン級駆逐艦「広開土王」によって攻撃を意図する火器管制レーダーを照射された事件である。事態を重く見た当時の岩屋毅防衛相は、記者会見を開いて事件の内容を公表し、「極めて危険な行為だ」と批判した。その上で12月22日、韓国側に再発防止を求めた。

 日本側が火器管制レーダーの照射があったと抗議したのに対し、韓国側は「使用したのは探索レーダーで、哨戒機を追跡する目的ではない」「北朝鮮の遭難船のためにレーダーを稼働したのを日本側が誤解した」と弁明した。さらに韓国側は、海自の哨戒機が高度150m、距離500mにまで接近し、「威嚇飛行」を行ったと主張している。

 日本側は、P1が撮影した事件当時の映像、音声記録を公開している。さらに12月27日に行われた実務者協議において、韓国側と証拠を突き合わせて共同で検証することを提案したが、韓国側は拒否した。「レーダー照射を一貫して否定してきた韓国側の引っ込みがつかなくなった」という見方が出ていた。

 日本側は19年1月、「韓国側が事実とは全く異なる主張を繰り返している。客観的、中立的な事実認定に応じる姿勢が見られない」という最終見解を発表した。