大手町パークビルディングPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所と三井不動産、住友不動産の不動産業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

三菱地所・三井不・住友不が
通期決算で「過去最高ラッシュ」

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界3社。対象期間は2022年11月~23年3月の直近四半期(3社いずれも23年1~3月期)としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・三菱地所
 増収率:6.0%(四半期の営業収益4715億円)
・三井不動産
 増収率:1.4%(四半期の売上高6427億円)
・住友不動産
 増収率:6.6%(四半期の売上高2410億円)

 不動産業界の主要3社は、そろって増収となった。

 この3社は、23年3月期の通期決算でも増収増益で着地。三菱地所と三井不動産は売り上げ(営業収益および売上高)・営業利益・純利益、住友不動産は営業利益・純利益で「過去最高」を更新している。

 業績絶好調といえる3社のセグメント別業績をひもとくと、各社の「最高決算」に寄与した事業が見えてくる。

 中には、売り上げは前期実績を下回ったものの、収益性改善などによって営業利益はプラスで着地し、全社の増益に貢献した事業も存在する。

 3社の「好調の立役者」となった事業は何だったのか。次ページでは、各社の増収率の推移と併せて、セグメント別業績について詳しく解説する。