ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. アメリカの大学で苦労したことはありますか?
読者からの質問 ハーバード大学では積極的に発言することが高く評価されると聞いています。しかし、内向型の人は質問に対してすぐに答えるのが苦手ですし、クラスメイトの注目を浴びるのが嫌で、発言をためらってしまうと思います。
ハーバード大の授業で評価されるために、ジルさんがどのような努力をしていたのか教えてください。
時には思い切った直談判も必要
ジル・チャン氏 ハーバードにかぎらず、アメリカの大学や大学院では必ずといっていいほど、教授たちは授業への「参加度」を重視して成績を評価します。「参加度」というのは、授業にただ出席することではなく、授業中のプレゼンや、グループディスカッション、発言の回数のことです。
つまり、みんなの前で積極的に自分の意見を言うことが、高評価につながるんです。
私の場合、注目を浴びるのが苦手なだけでなく、それ以上に「言葉の壁」があったので、授業ではかなり苦労しました。
英語ネイティブでない私は、教授の質問を理解するのに時間がかかりますし、思いついた回答を脳内で英語に翻訳している間に、話が先に進んでしまうからです。
「このままだと参加度の評価がゼロになる」と危機感を覚えた私は、教授のところへ足を運んで、「質問には答えたいが、言葉の壁が原因で思考が追いつかない」という事情を説明しました。
そうすると、教授が状況を理解して、「授業内で無理に発言しなくて大丈夫なので、自分の考えや感想を授業後にメールでフィードバックしてください。それを『参加度』として評価します」と言ってくれたんです。
もし教授に何も説明せずに愚直に頑張り続けていたとしたら、正当に評価してもらうのは難しかったと思います。
でも、私の置かれた状況やニーズを評価者にきちんと伝えることで、「やる気がない」などと誤解されることなく、自分のペースで授業に臨めるようになりました。