「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳)は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(取材/構成:田中裕子。初出:2022年6月28日)
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「生産的な一日」にするために毎朝していることは?
──リモートワークの日は、ついだらだらしてしまいます。生産的な一日を送るコツはありますか?
ジル・チャン:朝からちゃんと動くためにいちばん必要なのは「毎朝のルーティン」を決めることです。「コーヒーを飲む」や「シャワーを浴びる」「予定を整理する」など、どんなことでも構いません。身体も心も目覚める、自分なりのスイッチを決めておくんです。
また、朝に限らず、一日の流れをある程度ルーティン化しておくこともおすすめします。
私は早朝に起きてメールを返し、そのあと散歩をして、3~4時間仕事に没頭したらリフレッシュのためにヨガをする、といったルーティンが基本になっています(ヨガをはじめてから、カフェインに頼らずとも集中力が続くようになりました)。「ランチの後、仕事を再開する合図がわりに聴く音楽を決める」などもいいでしょう。
こうしたルーティンが身体に馴染むと、自然とそのリズムで動けるようになります。「なんとなくだらけてしまう」のを防ぐために、自分なりの習慣を作り上げていきましょう。
ちなみに、同僚のアメリカ人マネジャーにこの質問を投げかけてみたところ、「生産性を上げたい日はご褒美を準備するんだ」と答えてくれました。「すべてのタスクを16時までに終わらせたらビールを飲む、とかね」と。
彼のようにお酒を飲みたい人ばかりではないと思いますが、自分が心惹かれるご褒美を用意して、それを目指すのはいい方法だと思います。
集中できないときは「リチャージ」の時間をつくる
また、どうしても仕事に集中できないときは、「何もしない」のもおすすめです。元気をリチャージする時間だと割り切り、たとえば2時間など時間を決めてスケジュールをブロックして、仕事から離れてしまうのです。
『「静かな人」の戦略書』でも紹介したのですが、外向型の人は人と喋って元気になれる人が多いですが、内向型の場合、「一人の時間」を持つことでエネルギーを回復できる傾向があります。
内向型の私の場合、映画を観たり、読書をしたり、ジムに行って身体を動かしたり。自分の好きなように過ごすとだんだん集中できる状態に回復していきますから、それまで「待つ」意識を持つといいでしょう。
やる気がないときにダラダラ働いても効率的ではないし、いい結果も出ません。気持ちをリセットして、すっきりした頭で仕事に戻れるよう、自分に合った方法で活力を取り戻しましょう。