外国人労働者を取り巻く厳しい実態

 韓国で職を求める外国人は労働を目的として韓国に来た者ばかりではなく、韓国で結婚した移住者などの外国人も含まれる。結婚移住者の場合、正規のビザや永住権を取得していれば就労条件はクリアできるが、それでも職探しは楽ではなく、紹介を受ける仕事も肉体労働が多いといわれる。

 韓国の最低賃金は2023年現在9620ウォン(日本円で約1000円)。しかし、外国人労働者の立場の弱さを見越して、賃金不払いや、適正な賃金を支払わないといった悪質なケースもある。他にも「外国人可能」と募集要件に明記してあるのに、実際に応募すると履歴書だけで門前払いされるケース、女性の場合、面接で仕事の内容とは関係ない容姿について言及されたり、セクハラまがいの話題を投げかけられたりして、不快な思いをしたという話をよく耳にする。実際に、過去には工場勤務の外国人女性従業員が雇用主から体を触られるといったセクハラ被害や、男性従業員が賃金未払いを訴えたところ韓国人の上司や同僚から嫌がらせや暴力を受けたという事例も報道された。

 さらに、外国人労働者自身、職場で問題に直面しても言葉がネックとなったり、行政を頼って相談するといったすべを知らず泣き寝入りしたりというケースも多いものと思われる。

 一方、正規の滞在資格のない不法滞在の外国人も増加の一途をたどり、今年4月には41万7000人と過去最多を記録した。不法滞在の外国人を安い賃金で違法に雇用するケースも後を絶たず、問題の温床となっている。こうした点を見ても、外国人労働者にとって韓国の労働環境や条件は、とても良いとはいえない。