「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「本を読む習慣がない私でも読みやすく、頭に入りやすかった」
「何度も読み返したい本!」

などの声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】たんぱく質の離乳食を「6ヵ月から始めた子、1歳から始めた子」。発達に出る違いとは?Photo: Adobe Stock

離乳食を始めたら窒息事故に注意

 2021年のWHOのガイドラインでは、生後6ヵ月まで母乳、生後6ヵ月からすみやかに離乳食を開始するよう推奨しています。
 生後5~6ヵ月で離乳食を開始したあとは、食品による窒息事故が意外と多いため、日本小児科学会は十分気をつけるよう、注意喚起をしています。

 日本ではここ50年くらい、離乳食は白米の10倍がゆで始めることが主流ですが、他国ではオートミールや野菜から与え始めるところが多いです。
 一部でBLW(ベイビーレッドウィーニング = 赤ちゃん主導型離乳食)が注目されています。赤ちゃん自身がいつ何を食べたいかを決めるというコンセプトは魅力的に感じるかもしれませんが、栄養失調・栄養障害になる例も多く、おすすめできません。

アレルギー予防のために、たんぱく質摂取を

 生後5~6ヵ月ごろからたんぱく質を口から摂取していくことで、食物アレルギーの予防になることが研究で示されています[*113]。

 日本では、食物アレルギーを過度に恐れて、離乳食にたんぱく質を取り入れるタイミングを、1歳くらいまで遅らせている例をたくさん見ています。しかし、それでは体と脳の発達に必要なたんぱく質が不足して、栄養不足、栄養失調の状態になってしまいます

 豆腐、しらす干し、固ゆで卵の黄身など、たんぱく質を慎重にかつ着々と与えていきましょう。

 その際、観察・記録用に、スマホの離乳食記録アプリや写真などを活用するとよいでしょう。いろいろな離乳食記録アプリがリリースされています。月齢ごとに使える食材のチェックや、食べた食材の記録はもちろん、嫌がった食材やアレルギー反応が出た食材も記録できます。ご自分の好みや使い勝手に合ったものを利用するとよいでしょう。

母乳か粉ミルクか

 母乳にはとても貴重な免疫成分が含まれています。母乳研究が進み、粉ミルクの成分内容が母乳に近づくよう進化してきていますが、まだ母乳にしか含まれない成分があります。できる限り生後6ヵ月ごろまで、母乳を与えることをおすすめします。一方、母乳には少なくて粉ミルクに含まれている成分もあります(鉄、ビタミンD等)。何らかの事情で母乳をあげられない場合もありますので、母乳に足りない成分を粉ミルクで補うのもよいでしょう。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)

*113 Chan ES, et al. Early introduction of foods to prevent food allergy. Allergy Asthma Clin Immunol. 2018; 14(Suppl 2).