◆お互いの疲弊を防ぐ上司と焦る上司の「決定的な違い」
部下が動いてくれない、距離感がつかめない……そんな悩みを解決するのが、ソフトバンクで「汐留の母」と呼ばれた澤田清恵 著『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)。生身のリーダーに求められる最強の武器は、生成AIには代替できない「コミュ力(共感力)」。同書をベースに、表面的なテクニックではなく、心・技・体を整え、信頼で組織を動かすための実践的ノウハウを紹介しよう。
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限られた時間での面談がもたらすポジティブな効果
部下からの相談に乗る際、あらかじめ「今日は30分だけ時間をとるね」と時間を区切って面談を始めることは、マネジメントにおいて非常に有効な手法です。しかし、「たった30分で全てを解決できるだろうか」「途中で話を打ち切ることになって、かえって不満を持たれないか」と不安に感じるマネジャーもいるかもしれません。
実は、面談において必ずしも一度で完璧な結論を出す必要はない、ということを知っておくことが重要です。
結論が出なくても「誠意」は確実に伝わる
時間を区切って集中して面談を行った結果、たとえその30分間で明確な結論や解決策が出なかったとしても、焦る必要はありません。部下の視点に立ってみれば、「上司は日々の業務で忙しいなか、自分のためだけに貴重な時間を割いて、真剣に話を聞いてくれたんだ」とポジティブに感じてくれるものです。
事前に「今日はここまで」という制限時間を共有しているからこそ、部下も納得して面談に臨んでいます。そのため、時間が来て面談を終了したとしても「中途半端に打ち切られた」「突き放された」とネガティブに受け止められることは少なく、むしろ「自分の悩みや気持ちにきちんと共感してもらえた」という前向きで安心した印象が残りやすいのです。
信頼の蓄積が「認知的共感」へと進化する
このように、「限られた時間であっても、上司は自分の話をしっかりと受け止めてくれる」というポジティブな経験の積み重ねが、上司と部下の間に確固たる信頼関係を築いていきます。
こうして少しずつ信頼関係の土台が固まっていけば、面談の回数を重ねるごとに次第に対話は深まっていきます。そして、ただ相手の感情に寄り添うだけの段階から、お互いの置かれている状況や本質的な課題を冷静かつ客観的に理解し合う「認知的共感」へと確実に進化していくことができるのです。
複数回に分けて丁寧に向き合い、納得解を見出す
部下の抱える悩みや業務上の課題は、複雑で簡単に答えが出ないことも多いものです。それを一度の長時間の面談で無理に解決しようとすると、お互いに疲弊し、かえって判断を誤るリスクもあります。
そうではなく、「1回30分」といった集中できる枠組みを使い、何度かに分けて丁寧に向き合う姿勢を大切にしてください。時間を置いて感情を整理し、客観的な視点を交えることで、最終的には上司と部下の双方が心から納得できる最適な「落としどころ」を必ず見出すことができるはずです。
※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)をもとに作成しました。






