「スマホでゲーム」がうつやストレス対策になる理由、脳神経外科が解説健全な脳の機能維持には大規模ネットワークをバランスよく働かせることがポイント。だから、脳にとってゲームは害悪とは言い切れない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

前回の記事では、脳の老化をなるべく抑えるためには「脳の二相性」がポイントになるとお伝えしました。今回はその「脳の二相性」とはいったい何なのか、『脳の寿命を決めるグリア細胞』(青春出版社刊)から抜粋して紹介します。

ぼーっとしているときに活性化する脳の領域がある

 脳には2つの領域があることをご存じでしょうか。

 まずは言語機能のように高度な認知機能を伴う活動や、課題をこなす時などに活性化する脳領域について。こちらは脳の広い範囲を長い軸索によって結びつけるネットワークのため、「大規模ネットワーク」と呼ばれており、これまでに見出された多くが、種々の認知機能の組み合わせでありました。

 何か目的を持って意識を集中させて作業するときに必要な「集中系」と呼ぶことにしましょう。

「集中系」の代表としては、前頭頭頂葉外側皮質を中心とした中央実行系ネットワーク(CEN)と呼ばれる神経回路があり、集中して何か目的を持った活動をしているときに活性化することが示されています。

 しかし、驚くべきことに、これら大規模ネットワークの中で最大のものは、“目的を持った活動時には抑制される”ネットワークだったのです。