50歳が「脳の老化」の分かれ目!指示待ち・前例踏襲の人生は危ない写真はイメージです Photo:PIXTA

50歳から気にしたい脳の老化。脳の変化は「前頭葉」の萎縮から始まる。今の50歳前後は、第二次ベビーブーム世代を筆頭に人口のボリュームゾーン。この世代の前頭葉が老化するか否かは、日本の将来を左右すると筆者は説く。前例踏襲で閉塞感に満ちた危機的日本を救うためにも、50歳から脳を鍛えよう!
※本稿は、和田秀樹『50歳からの「脳のトリセツ」』(PHPビジネス新書)の一部を抜粋・編集したものです。

経験したことのないことに挑戦しよう

 前頭葉は、経験したことのないことに向き合うときに働きます。

 ルーティンワークや予想通りの出来事は、前頭葉をスルーして側頭葉や頭頂葉で情報処理されますが、未経験なこと、予想外のことは前頭葉で処理されます。前頭葉を鍛えるには、新しい経験を人生に多く取り込むのが一番なのです。

 今50歳前後になっている方は、日本経済の過渡期に社会人生活をスタートさせています。新入社員となったタイミングは、バブル期から就職氷河期の初期。つまり、経済成長の残照が消え去る直前の時期です。言い換えると、今の50歳前後は、ルーティン通りに頑張ることが出世に結びついた最後の世代だということです。

 バブル崩壊後も、多くの日本企業は「これまでしてきたことを繰り返せばいい」という考えにとらわれ続けました。そうした気風の会社に入った方には、「前と同じように」「先輩と同じように」「上司の言う通りに」という思考が刷り込まれたことでしょう。そして20代の後半くらいの時期に、今度は逆にアメリカ型に変えないといけないという強迫観念のもとにコンサルの言いなりになって、これまでのよかった点を考えることなく、改革に従わないといけなくなったのです。これでは前頭葉は鍛えられません。

 もしあなたがそうしたレールに乗って来たとしたら、一度立ち止まって、考えてみてください。

 その思考のままでいることは、あなた自身のため、会社のためになるでしょうか。明らかに、答えはNOでしょう。

 今こそ、自分で考え、これまでと違うことに挑戦するべきときです。それがあなたの前頭葉を鍛えることになり、会社に貢献することにもなります。