前回の円相場危機から9カ月がたち、新たな危機が起きてもおかしくなかったのだろう。案の定、円のドルに対する価値は再び急落しており、昨年9月に日本政府が相場を安定させるために市場介入した水準に向かっている。ただ、ジェットコースターのような相場になっている通貨は円だけではない。
円は1ドル=145円近辺で取引されている。この水準は昨年9月、円安に歯止めをかけるために日本政府が介入した146円に近い。円相場は乱高下し、昨年10月に付けた52週安値の150円と、そのわずか3カ月後に付けた128円の高値との間で上下動してきた。過去3カ月間では約8%下落している。われわれは昨年3月に125円を超える円安が大事件だったころのことを覚えているはずだ。
これらの数字を見て混乱しただろうか。日本の企業や家計、海外投資家がどう感じているかを想像してみよう。日銀の最新の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、日本企業の今年度の想定為替レートの平均は1ドル=約132円だった。企業の経営者は想定為替レートに基づいてさまざまなビジネス上の判断を下す。