山口廣秀・日銀元副総裁、日興リサーチセンター理事長Photo by Kuninobu Akutsu

現在の日本銀行の政策の柱であるマイナス金利とYCC。日銀元副総裁である山口廣秀・日興リサーチセンター理事長はYCCについて早いうちに廃止したほうがいいと言う。インタビューの後編では、今後の金融政策のあり方、日銀が進めるとしている金融政策、物価のレビューに期待するものなどについて語ってもらった。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

大きくなる日銀が
動かないリスク

――日本銀行の新執行部が目指すべき金融政策は?

 新総裁就任後の2回の政策決定会合を見ると、非常に慎重だと受け止めています。過去25年の政策や物価についてのレビューをしつつ、来年の春闘に向けて賃上げが続き、そうした中で物価が上昇していくのかどうかを見極めていきたいという姿勢なので、政策面ではなかなか動きが出にくいのではないかとみています。

 しかし、世界の構造変化が日本にも及んできていることを考えると、日銀としても柔軟性と機動性を持って動き出す、「動く政策」が求められるでしょう。現状、政策的に対応しないことに伴うリスクはないのかしっかり検証すべきではないでしょうか。

 早めに動いて物価が安定的に上昇する芽をつぶしてしまっては元も子もないという考えも分からないわけではありません。しかし、情勢変化に合わせて早い段階で手を打つことは重要です。動かないリスクは大きくなっています。

 予想インフレ率が現状よりさらに上昇してくると、それを制御するために強力な政策対応が必要になるかもしれません。

2%を超す物価上昇が続く中、日銀はどう動くべきなのか。次ページで政策変更のタイミングとその手段について山口氏が予測する。