東京や香港のオフィスワーカーの中には、猛暑対策として隠れた武器を持つ人がいる。ソニーの「REON POCKET 4」は小さなテレビリモコンほどの大きさで、首の後ろに冷たい金属パッドを装着する。ペルチェ効果と呼ばれる熱電現象を利用し、電流が二つの異なる導体の接合部に流れると、一方が温まり、一方が冷却される。より小型のバッテリーを搭載した先行機種は昨年すぐに完売した。ソニーは、パーソナル冷却技術への関心が高まっていると見ており、市場の拡大を見込んでいるという。世界の気温が上昇するとの見通しから、パーソナル冷却の新たな選択肢を見いだす取り組みが進んでいる。研究者や科学者は熱電を応用したり砂漠アリやラクダにヒントを求めたりしながら、汗だくの企業幹部だけでなく、農業従事者や工場労働者、緊急対応要員といった従来エアコンが使えない人々のためにも画期的な解決策を見つけようとしている。