「手塩にかけて育てた我が子には、ブラック企業ではなく“一流ホワイト企業”に入社してほしい」。そんな願いを持つ親も多いだろう。就活塾ホワイトアカデミーの代表として、多くの学生達の就活をアシストしてきた竹内健登氏は「一流ホワイト企業に内定をもらえる人ともらえない人には決定的な差がある」と語る。その“差”はどこにあるのか。本稿は、竹内氏の著書『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法 改訂新版』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
東大生も挫折!?
一筋縄ではいかない一流ホワイト企業の就活
「せっかく20年間育てて東大にも入れたのに、なんでそんな会社にしか入れないの!?」
これは私が就活中に、母親から言われた言葉です。母からすると当然の一声だったと思います。なにせ私は、早稲田中学・早稲田高校と私立の中高に通い、かつ、進学塾も高いお金を払ってもらってやっとのことで東京大学に入ったのですから。
親に払ってもらった教育費は、ゆうに1000万円を超えています。当然、親としては、就活では“いい企業”から内定がもらえるはずだろう、というわけです。
しかし、現実はそうはなりませんでした。
総合商社、金融機関、大手メーカー……人気の企業、名前を知っている企業を手あたり次第に受け、立て続けに落ちてしまいました。その後、就職エージェントに頼り、唯一、得られた内定が静岡県にある中小企業(技術系ベンチャー)でした。そのときに母に言われたのが、冒頭の言葉だった、というわけです。この言葉は、まるで車のタイヤを背負い込んだかのような重荷として、ずっしりと私の肩にのしかかりました。
そうして、親からのプレッシャーと、「ここまで育ててもらったのに……」という罪悪感から、私はずたずたになった精神を奮い立たせて、もう一度、就活をしました。しかし、その後どれだけ企業に応募しても、私が選考を突破することはありませんでした。
唯一内定をもらった技術系ベンチャー企業の内定者研修に参加することになりましたが、志望度も高くなく、母親から「そんな会社」と言われた企業です。当然、しっくりくることなどなく辞退してしまい、1年間の就職留年(休学)をすることとなりました。
まさに、「就活に挫折」した私は、ビジネススクールに通うことにしました。そのおかげで就活2年目にはデロイト トーマツ グループからの内定を得ることができ、苦難の末に、なんとかコンサルタントとしてのファーストキャリアを歩むこととなりました。1年目の就活で心身ともにずたずたになった私としては、ほっと胸をなでおろしたものです。
けれどもその3年後、竹内家に再び悲劇が襲いかかります。弟の就活でした。弟もまた東大で、しかも薬学部でした。にもかかわらず、希望していた製薬会社すべてから、「不採用」となったのです。最終的に内定を得られたのは、製薬事業とは何も関係のない中堅企業だけでした。再び母親としては、
「なぜ、東大の薬学部なのに、大手の製薬会社に落ちるの?」
と叫ばんばかりだったでしょう。私も、本当に不思議でした。