他社がまねできない高精度な加工技術でオンリーワンのポジションを築く

うたうのはズバリ「他では真似できない物、つくります」。その看板に偽りなし。手がけた製品として会社の一角には、ル・マン24時間レースで入賞したレースカーのステアリング部品、世界で100台限定販売のマウンテンバイクのフロントフォーク、水素燃料自動車の水素ガスタンク部品など、レア物がズラリと並ぶ。精密部品加工、専用機設計製作を展開する岐阜県関市の臼田工業。特に半導体製造装置や自動車の部品などに求められる高い加工精度に定評があり、「全国から、さまざまな試作品開発の依頼を多く頂戴します」。代表取締役社長を務める臼田勲氏はそう語る。(取材・文/大沢玲子)

 創業は1980年。一貫して大手機械要素部品メーカーや自動車部品メーカーからの依頼を受け、精密部品加工、専用機開発に取り組む中、技術力と独自のノウハウを磨き、高能率・高精度加工を実現。同社の取引先を見ると、世界シェアトップの自動車・二輪部品メーカー他、大手企業が並ぶ。バブル崩壊やリーマンショックでも大きなダメージを受けなかったという同社の強みはどこにあるのか。

自前生産管理システムで
工場内の見える化を実現

他社がまねできない高精度な加工技術でオンリーワンのポジションを築く代表取締役社長・臼田勲氏

 その一つがステンレスなど難削材を高い精度で加工できる精密切削技術を擁すること。複雑な形状の加工や、最小穴径0.9mmの微細穴の高品位な鏡面加工仕上げも可能。また、ガンドリルマシンによるノンストップ加工で真円度、円筒度、真直度、面粗度を向上。異形状部品の深穴加工、最小直径4mmから最大1mm、深さ300mmまで、曲がりの少ない高精度ガンドリル加工で、面粗さ0.15Raを実現している。

「ガンドリル加工では、使うドリルの形状や油のブレンドなど、汎用機を独自にカスタマイズし、テストを重ね、精度を高めているのが特徴です」(臼田氏)