この夏の中国発の経済指標は、一言で言えば厳しい。ただ、見出しに並ぶ数字はそれ自体厳しいが、もっと根本的な問題を示唆しているのかもしれない。それは中国政府が、ポストコロナ時代に家計の先行きは安泰だと国民を納得させることに失敗した、ということだ。
15日発表の7月の主要経済指標は、経済が踊り場に近いことを示している。小売売上高は前年同月比2.5%増に鈍化した。先に発表のあった消費者物価指数(CPI)はすでにマイナスとなっている。鉱工業生産指数は前月比でごくわずかな伸びにとどまり、さらに銀行の新規融資は2009年以来の低水準となった。これを受けて中国人民銀行(中央銀行)が二つの主要政策金利を引き下げたほか、政府は若年層失業率の公表を取りやめると発表した。同失業率は足元で20%前後で推移していた。
年初には有望に見えた中国経済が、なぜ再び、これほど急速に悪化したのだろうか。