「1日3食では、どうしても糖質オーバーになる」「やせるためには糖質制限が必要」…。しかし、本当にそうなのか? 自己流の糖質制限でかえって健康を害する人が増えている。若くて健康体の人であれば、糖質を気にしすぎる必要はない。むしろ健康のためには適度な脂肪が必要であるなど、健康の新常識を提案する『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』(萩原圭祐著、ダイヤモンド社)。同書から一部抜粋・加筆してお届けする本連載では、病気にならない、老けない、寿命を延ばす食事や生活習慣などについて、「ケトン食療法」の名医がわかりやすく解説する。
プチケトン食とは、糖質の摂取量を抑え、脂質を多く摂取して
ケトン体を誘導しやすくする食事のこと
改めて、糖質制限とケトン食療法の違いとその共通点について、もう一度、確認しておきましょう。
2020年版の厚生労働省による日本人の食事摂取基準にもとづけば、「糖質制限」とは、「1日の糖質摂取量が100g以下」。「高脂肪食」とは、「総エネルギー量の30%以上を脂質から摂取すること」ということになります。
一方、がんケトン食療法は、「1日あたりの糖質量を10~30gにして、脂質を120~140g摂取」します。
私たちが開発したがんケトン食療法は、一般の人がそのまま取り入れるのは難しいかもしれません。しかし、がんケトン食療法を踏まえたプチケトン食なら十分に可能です。
プチケトン食は、1日の糖質の摂取量を50~100g程度にして、脂質をしっかり摂取し、ケトン体を誘導しやすくする食事療法です。
夕食の糖質(白米やパンなど)の摂取量を減らして、脂肪分とたんぱく質の多い食べ物をしっかりとれば、夜間にケトン体が十分に誘導されます。
プチケトン食の方法には、いくつかのパターンが考えられます。
月~金の平日は、1日の糖質50~100gのプチケトン食。土日は、外食OKで普通食に戻す。
逆に、月~金は普段通りにして、土日は1日の糖質50g目標のプチケトン食にするという方法もあります。場合によっては、1か月に2日続けてのプチケトン食にするのもおすすめです。
主な食材のケトン比は、こうなっている
なお、主な食材のケトン比(脂質÷たんぱく質+炭水化物)の数値は、以下のようになります。
サバ0・5、ブリ0・5、ウナギ0・8、サンマ1・1、マグロツナ油漬け1・2
鶏モモ(皮付き)0・8、豚ロース(脂身付き)0・9、牛肩ロース(脂身付き)1・4、牛サーロイン(脂身付き)1・5、豚バラ(脂身付き)2・7
アーモンド2・2、ピスタチオ2・3、アボガド2・4、クルミ4・4
全卵0・6、うずら卵0・7
クリームチーズ3
油揚げ1・3
それでは次に、日々の生活にプチケトン食を取り入れるための具体的なメニューを紹介していきましょう。
(※本稿は『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』の一部を抜粋・編集したものです)
大阪大学大学院医学系研究科 先進融合医学共同研究講座 特任教授(常勤)、医学博士
1994年広島大学医学部医学科卒業、2004年大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。1994年大阪大学医学部附属病院第三内科・関連病院で内科全般を研修。2000年大学院入学後より抗IL-6レセプター抗体の臨床開発および薬効の基礎解析を行う。2006年大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー内科助教、2011年漢方医学寄附講座准教授を経て2017年から現職。2022年京都大学教育学部特任教授兼任。現在は、先進医学と伝統医学を基にした新たな融合医学による少子超高齢社会の問題解決を目指している。
2013年より日本の基幹病院で初となる「がんケトン食療法」の臨床研究を進め、その成果を2020年に報告し国内外で反響。その方法が「癌における食事療法の開発」としてアメリカ・シンガポール・日本で特許取得。関連特許取得1件、関連特許出願6件。
日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)などの学会でがんケトン食療法の発表多数。日本内科学会総合内科専門医、内科指導医。日本リウマチ学会リウマチ指導医、日本東洋医学会漢方指導医。最新刊『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』がダイヤモンド社より2023年3月1日に発売に。