物価も給料も激安な国、日本。すでに日本の建物や土地は外国人に買いたたかれているが、加えて海外から目をつけられているのは日本の手厚い福祉だ。すでに日本の福祉サービスを逆手にとった事件も発生しているという。その真実を、元国連専門機関職員で、舌鋒鋭いツイートで話題の「めいろま」こと、谷本真由美さんが明かす。本稿は『激安ニッポン』(マガジンハウス)の一部を抜粋・編集したものです。
日本の福祉にたかる
外国人たち
外国人にとってお得感があるもののひとつに、「日本の福祉」があります。
日本のみなさんはあまり意識していないかもしれませんが、日本は世界各国の中でも数少ない「国民皆保険」を実施している国です。
国民皆保険は、国民全員に対して健康保険が提供され、医療費の個人負担を減らしてくれる仕組みです。日本では負担するのは原則3割ですが、同じく国民皆保険を実施しているカナダやイギリスでは、個人負担がありません。
しかし、個人負担がない国は医者にかかるのが大変で、検査だけでも2カ月から3カ月待ちということがめずらしくありません。 また、救急治療を受ける場合でも、待ち時間が5時間から6時間かかることもあります。医療費が無料な分、サービスがよくないわけです。
アメリカの場合、医療保険は基本的に民間のものに入ることになります。医療費は先に自分で払い、後ほど保険で支払われるという仕組みになっていますから、保険会社とも毎回交渉しなければなりません。
会社員は自分の職場の保険に入りますが、自営業の人などは大変高額な医療保険に入らなければならず、その費用は家族分も含め、月に14万円にもなることもあります。収入の低い人や高齢者向けの公的な保険もありますが、日本に比べると恵まれているとは言えません。
ところが日本の場合、自己負担分がかなり抑えられているのにもかかわらず、サービスは世界トップクラスです。日本の病院はほとんど私立で、治療すればするほど儲かる仕組みになっているため、すぐに検査も治療も受けられます。その際に保険会社と交渉する必要もないのです。
また、日本で医師免許を取得するには、超高偏差値の医学部を出る必要があるため、医師の質も全国的に高いです。そして、検査機器は全世界的に見ても、最も数が多い国の1つであり、アメリカほどではありませんが、最先端に近い治療を受けることができます。
このように、日本の医療は海外から見ると大変魅力的なのです。
まず先進国の人からすると、自分の国が医療費無料だったとしても、迅速に医療サービスを受けられ、しかも丁寧な診察をしてくれる日本の医療はコストパフォーマンス的に考えると驚異的です。多少医療費を払ってでも、日本の医療サービスを受けたいという人は大勢います。