海外出産した人は2017年は日本人1277件、外国人1799件と数は多くないものの、日本人には5.3億円、外国人には7.4億円という費用が支払われ、1人あたり42万円が支払われています。そして、出産一時金は2023年より1人あたり50万円に引き上げられました。
治療費の給付は住んでいる自治体に申請するのですが、問題は日本の自治体などには十分なマンパワーがないので、本当にその人が海外で治療を受けて、それがどんなものであったのかを細かく調べることができないということです。自治体に治療を受けた証明書を出すことになっていますが、少なからぬ国では袖の下を出せば証明書も偽造できるので真偽の判定は難しいのです。
他の国では基本的に、国民健康保険も民間の保険もその居住している国で治療を受けたり出産したりしなければ費用は出ないことになっています。
ところが日本の場合、海外で勉強したり働いたりする日本人のために、国民健康保険の制度を適用してきたのですが、その制度を外国人も使えるわけです。これは他国から見ると大変驚くべき仕組みです。
さらに、日本の健康保険では、扶養に入れられる親族の範囲が広いのも特徴的です。他の国では本人と配偶者、その子供だけというところが大半なのですが、日本は孫や兄弟姉妹までも含んでいます。こんなに寛容な仕組みは他の国には存在しません。
サービスの質が高いのに激安で、加入条件も緩い。そんな健康保険制度が海外から狙われているわけです。
障害者福祉と高齢者福祉も
コスパ最高
医療制度の他に日本の制度で恵まれているものが「障害者福祉」です。
実は日本の障害者福祉というのは世界最高峰の水準です。他の先進国に比べて、障害者福祉施設や障害者向けの作業所などが非常に充実しています。30年前の知識で止まっている人は、日本の福祉は充実していないと言い張っているのですが、それは大きな間違いです。
街を歩けばわかりますが、日本ではショッピングモールや駅などは最近ずいぶん整備されていて、車いすでも入れる多目的トイレなどがほぼ併設されています。また、図書館に行けば、視覚障害者用の点字の書籍や音声媒体の貸し出しまであったりします。
他の先進国ではこういった設備が壊れていたり、そもそもまったく存在しなかったりすることもあります。特に欧州はひどい国が多く、多目的トイレはほぼ壊れていると言ってもいいぐらいです。しかも掃除もしないので、中は汚れていてとても使える状態ではありません。
しかも、日本では障害のある子どもに対するケアも実に手厚く、支援学級に入れないということはまずありませんが、他の先進国では予算不足で無理やり健常者用のクラスに押し込められるということがめずらしくありません。明らかな知的障害があっても拒否されるのです。
先進国でこの調子ですから、途上国の状況は想像するまでもありません。途上国の場合はそもそも障害者福祉も何もないというところが多いのです。普段から住んでいるところが『北斗の拳』の「修羅の国」状態ですから、日本の障害者用の設備ははっきり言って異世界のように感じるはずです。
『激安ニッポン』(マガジンハウス)谷本真由美 著
高齢者福祉に関しても同じで、日本には介護保険があり、ほぼどこの町にも高齢者施設があります。ところが他の先進国には介護保険のようなものがない国もけっこうあります。介護はすべて100%自己負担であることが当たり前だったり、故人の家を市役所が売却し、その費用で介護費用を出させるという仕組みになっていたりします。
そもそも、途上国では高齢者を介護する施設がない場合もあります。そういう国では、歳を取ったらそのまま放置されて死ぬか、家族が面倒を見るほかありません。老人ホームや訪問介護などでプロに介護をお願いできる日本の仕組みは本当にすばらしいのです。
しかも介護保険があって、費用を負担しなければならないのは一部ですし、自治体は家のリフォーム費用やさまざまな器具のレンタルまでしてくれます。
今はまだ、介護サービスを受けに日本に来る人はほとんどいませんが、医療制度のように、いずれは安くて質の高い介護サービスを求めて、海外の人がやってくるようになるでしょう。







