ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
スマートフォンの理想と現実

サムスンら大手ベンダーが新端末の発表を見送り
新興勢力の中国勢には未だ“ビジョン”見えず

――モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2013レポート【前編】

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第45回】 2013年3月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
6

 しかし、そうした多様な製品群を踏まえて、同社が未来の社会に対してどんなビジョンを提案したいのか。ある意味で一番重要なそのメッセージが、不足しているような気がしたのだ。

 ある意味で「ないものねだり」なのかもしれない。日本国内の通信産業におけるNTTドコモと同様に、サムスン電子も世界のスマートフォン市場で確固たる地位を得た。そのサムスン電子が展示するのだから、きっとそこには明確なメッセージがあるに違いない――ブースに漂う不足感は、そうした消費者側による勝手な高望みの、裏返しともいえる。

 ただ反対に、そうしたメッセージを期待されるほどの存在になった以上、サムスン電子はその役割を果たさなければならないはずだ。その彼らをして、今年のMWCで明確に次のビジョンを打ち出せなかった。それこそが、ケータイ産業の、そしてサムスン電子の苦悩であるように感じた。

 むしろ、「次のビジョン」に関しては、他のプレイヤーからいくつか感じられた。次回はそうした新たな胎動や、日本勢のプレゼンス、通信機器のトレンドなどを紹介する。

previous page
6
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

「スマートフォンの理想と現実」

⇒バックナンバー一覧