前回に引き続き、今月初旬に米国ラスベガスで開催された、世界最大級のデジタル関連の展示会International CES(以下CES)の様子をご報告する。前回はテレビメーカーの状況を中心にお伝えしたが、今回は本連載の看板通り、スマートフォンの動向などを取り上げる。
中国勢は停滞しているのか
昨年、2012年のCESで目立ったのは、中国勢の躍進である。高度な技術競争を仕掛け、プレミアムブランドとなった日韓勢をキャッチアップするような動きが、あちこちで見られた。これは、ケータイ分野の世界最大の展示会である、モバイルワールドコングレス(以下MWC)も同様である。
しかし今年は率直に言って、あまり勢いを感じられなかった。白物家電大手のハイアールなども、趣向を凝らした展示をしてはいたものの、会期中に何度か同じ時間帯にブースを眺めてみた限り、集客は日本メーカーと比較して少々劣る感が否めなかった。
スマートフォン分野にしても同様である。ファーウェイ(huawai)やZTEは大きなブースを立てていたし、新製品も発表した。しかし彼らも目立っていたかといえば、むしろ今年のCES全体の中では控えめという印象で、総じて「昨年とは何かが違う」と感じさせるものだった。
これにはいくつかの理由が複合しているように思う。一つは米国経済の好調によって、展示の中心が高付加価値商品に寄っていたこと。特にこれはテレビ受像器の分野で鮮明で、こうした製品への対応は、さすがの中国勢でも日韓にはまだ及ばない(あるいは及んでいるような印象を受けない)というのが現状なのだろう。
また、米国社会の中国勢に対する警戒感も、背景としてはあるのかもしれない。特に通信分野では、国家安全保障の観点から、中国ベンダーの製品導入に課題アリとの見解が、米国議会から昨年示された。今年のCESはこれが大きくクローズアップされた直後であることを考えれば、何らかの影響を受けたことは否定できない。