頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人たちに話題となっているのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書 TOPPOINT大賞2023上半期ベスト10冊」に選抜された本だ。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書でもある。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。

1位思考Photo: Adobe Stock

「全体最適の習慣」を普及させるには?

 本書第1章の「全体最適の習慣」は、「1%にこだわる習慣」に深く関係している。

 私はミーティングやレビューで全体最適について意識的に話している。

 アンカー・ジャパン入社後、自分のチームのメンバーが少ない頃から「全体最適」と言ってきた。

 仕事の報告を受けたときは、

このアクションは全体最適ではないのでは?

 とあえて聞くこともある。

 メンバーが自分で気づいてアクションを変えていくことで、少しずつ全体最適が浸透していったという実感がある。

全体会議が重要な理由

 毎週火曜の午後は全体会議がある。

 全事業部のリーダー以上が参加し、直近の業績などについて話し合う。

 これは、全体最適を図るため、他部署の情報を共有する狙いもある。

 月曜に前週分のデータを確認し、状況の整理を火曜の会議までに行う。

 eコマースでは、マーケットシェアが毎週のように変化する。

 検索サイトでの順位も日々変わる。

 気を抜くと一瞬で負けてしまう。

 実際、モバイルバッテリーや充電器のカテゴリーでは1位はアンカーだが、2~5位は毎年新しいプレーヤーが参入し、激しく入れ替わっている。

 現在1位でも、危機感を持って競合の動向を見つつ、1位であり続けるにはどうすればいいかをみんなで話し合う。

 新製品の準備状況や発売後の反響もここで共有されている。

 新製品を発売する際は、多くの部署が関係してくる。

 昔はオンライン上に販売ページを開設するだけでよかったが、事前に小売店と商談したり、プレスリリースを準備したり、店舗用の什器をつくったりと、チーム間で連携する作業が増えているからだ。

 新商品の解禁日を共有し、そこから逆算して準備する。

 全体会議では、会社の考え方、売上や利益など、今後のプロジェクトなどをメンバーで共有する。

 全体最適を象徴する、とても重要な場である。

 さらに、四半期ごとに業績や成果を全社員に共有する会議を実施している。

 売上・利益について部門の垣根を越えて共有するほか、今後の会社の方針についても話をする。

「バッテリーの市場1位を守る」
「新カテゴリーで1位を獲りにいく」

 など、これから会社はどう歩んでいくかを全メンバーと共有している。

 そのほかプロジェクト、新店舗などビジネスの状況、後述する従業員サーベイの結果、会社の仕組みの変更点などを話す。

 メンバーが全体最適を考えるうえで、大切な情報共有の場となっている。

(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)