業績が悪く給料が上がらない。頑張っているのに成果が出ない。
そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』(11/30刊)。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。

1位思考Photo: Adobe Stock

仕事で一番大切にしているもの

 会社の業績は個人の力の集積だ。

 全社員が同じ目標に向かって進んだとき業績は最大になり、個人も大きく成長する。

 仕事で私が一番大切にしているのは、「全体最適の習慣」だ

 個人よりもチーム、チームよりも会社全体を考えようと日頃からメンバーに伝えている。

 一般的に、人は自分のKPI(重要業績評価指標)達成が最優先で、どうしても自分さえよければいいという考え方になりやすい。

 だが、自分や自分の部署さえよければいいという「部分最適」が広がると、組織は弱くなる。

 あなたの個人としての成長も止まってしまう。

 スポーツの団体競技で個人プレーに走る選手がいては絶対に勝てない。

 それは会社も同じ。

「自部署のKPIさえ達成すればいい」
「他部署のことは関係ない」

 という雰囲気になると、会社の成長は鈍化する。

全体最適と個人の成長

 そして、そんな組織にいると、個人としての成長も確実に遅くなる。

 全体最適の習慣が身につくと、経営者の視座・視野・視点が手に入り、成長が加速する。

 一見遠回りに見えるが、全体最適の習慣を身につけることが、個人の成長でも1位になるための最善手だ。

 全体最適の視点は、問題解決を行ううえで欠かせない。

 これにより、正しい問題設定ができるようになるからだ。

 学校では解くべき問題が決まっているが、ビジネスでは解くべき問題を自分で設定しなくてはならない。

 そして、そもそも問題の設定が間違っていることも多い。

 たとえば、上司から「広告戦略をどうするか」という課題を出されたとしても、売上の最大化が目的なら、広告戦略を精緻化する前に「販路拡大をまずやる」ことに時間を使ったほうがより効率的で本質的な場合もある。

 全体最適の発想により経営者の視点を磨けば、上司が出した課題の真意を考える習慣がつき、よりスピーディに本質的な課題を解決できる。

 なぜなら問題解決にとって重要な「仮説思考」を強化できるからだ(詳細は第4章)。

 全体最適の習慣は、役職問わず、すべてのビジネスパーソンに必要である。

「会社全体で何がベストか」という視点

会社にとってベストな選択は何か」という視点を常に持ってみよう。

 自分の仕事と、会社にとってのベストな選択は本来つながっている。

「全体最適」を意識すると、仕事の結果は大きく変わってくる。

 たとえば、在庫が過剰な状態は財務部にとってはマイナスだが、営業部にとっては追加の販売機会があったときにも対応できるため、プラスといえる。

 反対に、在庫を最低量しか確保しない場合、財務部としては嬉しい状況だが、営業部としては追加の販売機会を失うかもしれない。

 在庫の持ち方は、どちらか一方の部門を過度に優先するより、利益相反のある部門が一緒になって「本当に必要な在庫水準」を検討してみることが大切だ。

 そうすれば、共通目標に向かってお互いが協力しやすく、結果的に企業の成長を加速できる。

 常に木より森を見て、大局から判断することが大事だ。

(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)