米国の労働組合は、かつてに比べれば勢力が衰えている。だからといって、その影響力まで失われたわけではない。全米自動車労働組合(UAW)の組合員は、米自動車大手のフォード・モーターとゼネラル・モーターズ(GM)および欧州自動車大手のステランティスとの交渉で新たな労働協約の合意に向けて十分な進展が見られなければ、15日にもストライキに突入する可能性がある。そうなれば、新型コロナウイルス禍に端を発するサプライチェーン(供給網)問題を脱したばかりの自動車業界に混乱が広がりそうだ。ハリウッドの脚本家や俳優によるストはまだ続いている。米宅配・航空貨物大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)はこの夏、全米運輸労組(チームスターズ)との賃上げ交渉で合意し、ストを回避した。また、米西海岸の港湾運営会社などから成る太平洋海事協会(PMA)は6月、国際港湾倉庫労働組合(ILWU)と労働協約で合意した。さらに、アマゾン・ドット・コムやスターバックスといった企業では、組織化に向けた動きが続いている。
米労働組合の「上昇機運」、投資家は警戒を
全米自動車労働組合がストライキに突入する可能性は、労組の影響力が増していることを示している
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