PHOTO: SYLVIA JARRUS FOR THE WALL STREET JOURNAL
全米自動車労働組合(UAW)にとって、デトロイトの自動車大手3社に賃上げとワークライフバランスの改善を要求することは、完全に理にかなっている。結局のところ、労働市場全般が歴史的な逼迫(ひっぱく)状態にある現在、労働者はまさにそうしたものを獲得しているからだ。
だが、ストライキを実施する工場労働者にとって理にかなったとしても、製造業全体にとっては全く理にかなったことではない。賃金は究極的には生産性、つまり企業の労働力が生み出す商品の量や質と結びついているからだ。そしてこの分野で、米製造業と労働者は苦しい状況にある。衣料品や家具といった労働集約的な製品が問題なのではない。こうした製品の製造はずいぶん前に国外に移転している。むしろ問題は、電気自動車(EV)やバッテリー、発電装置、民間航空機、半導体といった最先端の製品にある。