日本より閉鎖的?韓国で急増する外国人労働者を街中で見かけない裏事情写真はイメージです Photo:PIXTA

日本と韓国は共通の課題が多い。その一つが「少子高齢化による労働力不足」である。ただし韓国の場合、「労働力不足」と言いつつ「若者の就職難」という、おかしな状況になっている。その背景には、選ばなければ仕事はあるものの、人手を望んでいる職種は重労働が多くて若者が来ない、若者側は「学歴至上主義」にとらわれて公務員や大企業など理想が高く、結果、マッチングしない……という現状がある。その結果、高齢者や外国人労働者がその人手不足を補うべく働いているという、かつては考えられなかった状況になっている。日本でも、外国人労働者の存在に頼っているところはあるが、日本と韓国では事情が異なるようだ。韓国の外国人労働者事情について紹介したい。(韓国在住ライター 田中美蘭)

日本で働く外国人労働者が韓国に流れている?

 筆者の長男が春休みに福岡に旅行に行ってきた。コロナ禍による影響で3年以上日本に行くことができず、待ちわびた久々の日本を満喫してきたのだが、「日本はとにかく外国人があちこちで働いていて驚いた」という感想を口にしていた。

 コロナ禍以前から、日本では至るところで外国人労働者の姿を目にしていた。そして、コロナ禍が落ち着いた現在は、以前にも増して外国人労働者が多くなっているという印象を受けるのだ。

 日本の友人に聞くと、特にサービス業を中心に人手不足が深刻なので、応募者が来るだけでもありがたく、それが外国人で多少日本語がおぼつかないとしても背に腹は代えられず採用しているところが多いのだという。

 しかし、別の友人は「最近、日本で働く外国人労働者たちは日本の賃金が安いことに見切りをつけて、韓国や台湾に行くようになっていると聞いた」と言っていた。

 これだけ聞くと「やはり日本よりも韓国が上になった」「日本はオワコンだ」などという声が聞かれそうだが、単にそうとはいえない事情がある。

 韓国に戻って、家族や友人とこの話をしていたときに指摘されたことがある。それは、「日本にいる外国人労働者は接客など表に出る仕事をしているが、韓国で働く外国人労働者はそうではない」ということである。つまり、日本では、コンビニ、スーパー、飲食店やホテルなどあらゆるところで外国人が働いているのを目にすることは珍しいことではない。しかし韓国の場合、外国人労働者が増加していると言われながら、実際に働いている姿を見かけることは少ないのだ。それでも、外国人労働者が多いというのはどういうことであろうか?