25年前、米ヘッジファンド「ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)」の破綻危機はウォール街を震撼させた。14の大手金融機関が総額数十億ドルの資本を供給し、LTCMを救済する事態となった。
当時、米連邦準備制度理事会(FRB)の要請で投資銀行幹部を一堂に集めることは異常な介入のように感じられた。だが四半世紀を振り返り、その後に起きたさまざまなことを考えると、LTCM危機の解決方法は今となっては奇妙に映る。たった一社を救済するだけで済んだからだ。
当然ながら、金融機関は慈善事業を行ってきたわけではない。ゴールドマン・サックス、JPモルガン、メリルリンチ、UBSなどの財布をこじ開けたのは、LTCMが破綻した場合の余波拡大への懸念だった。LTCMは金融機関から資金を借り入れて投資にレバレッジをかけていたため、金融機関には直接的なエクスポージャーがあった。また、投げ売りが発生すれば市場全体に影響が及びかねないという間接的なリスクもあった。