「機能的で」「美しく」「住みやすい」部屋づくりの常識だけでは、心まで満たすことはできない(写真はイメージです) Photo:PIXTA
「夫婦げんかが多い、仕事がうまくいかない、子どもが問題行動を起こす、自分に自信がもてない……。こういった悩みの原因の多くは実は“部屋”にあるのです!」そう断言する一級建築士の高原美由紀氏によると、大がかりなリフォームをしなくても、家具の配置を変えるだけでも、自分や家族にいい影響を与えるといいます。そこで高原氏の新刊『ちょっと変えれば人生が変わる!部屋づくりの法則』(青春出版社)から、間取りクイズを交えながら一瞬で家族関係がよくなる部屋のレイアウトを抜粋紹介しましょう。
夫婦の会話の量も、自己肯定感も“部屋”に左右されていた
問題です。夫婦と妻の母の3人家族。夫婦の会話が少なく、妻の居場所がない家でしたが原因は部屋にありました。この部屋のどこが問題でしょうか?
答えは、ソファの向きでした。このお宅の家族構成は、40代前半のご夫婦、60代後半の妻のお母さまの3人家族です。
実はこのお宅の妻から最初にいただいたご相談は、「ダイニングの椅子が大きすぎて邪魔だから買い替えたい」というものでした。
通常なら、どんな椅子をお望みなのか、ご要望をうかがうところです。でも、私が行っているやり方は違います。もっと深いところにある本当の望みを、お話を聞きながら探っていくのです。
間取り図の家具の配置を見てください。リビングにあるテレビの前には2.5人掛けくらいのソファがあります。この間取りを見たとき「椅子を買い替えたところで、この家の本当の問題は解決しない」ということが推測できました。そして実際のリビングを見て「なるほど、そういうことだったのか」と思いました。テレビの前のソファとローテーブルの周りが、とても散らかっていたのです。
そこで私は1つだけ質問をしました。
「奥さまは、いつもどこに座られていますか?」答えは私の予想通り、ダイニングテーブルに2つ並んでいる椅子の左側でした。
この間取りから想像したのは、夫婦の会話があまりないのではないか、ということでした。妻と妻のお母さま、そして夫といった、女性と男性が分断して暮らしているのではないかと思ったのです。
そしてもうひとつ。妻はリビングに居場所がなく、自己肯定感が下がっているのではないか、夫は家の中で疎外感を抱いているのではないかということです。
なぜ、そんなことがわかるの? と不思議に思われるかもしれませんね。もちろん、私は超能力者ではありません。ちゃんと理由があるのです。
テレビの前の散らかり具合を見たとき、夫の定位置はソファの左側だと確信しました。それに対して妻の定位置は、夫の真後ろの椅子。そして横に並んで座っているのがお母さまです。
なぜ、妻の自己肯定感が下がっていると推測したのか
これはまさに“劇場スタイル”。テレビを観るとき、まるで劇場で夫が前の席、少し離れた後ろの席に女性2人が仲良く座っているかのようなのです。つまり、妻はいつも夫の背中越しにテレビを観ているということになります。この位置関係で、夫と妻がテレビを観ながら会話ができるでしょうか。
それどころか、ソファの周りの散らかり具合を見て、きっと妻は「まったく、帰ったらソファでグダッとして、家のことも手伝ってくれないで!」ってなりますよね。そして妻とお母さまが会話することになります。この2人の会話は、夫には聞こえません。夫の心の声は「女どもが後ろでこそこそと話しやがって」となるわけです。こうしていつの間にか夫婦お互いの不満がたまっていきます。
もし、ここでダイニングの椅子を新しく替えても、問題は何も解決されません。このままいったら、夫婦がけんかしたり、家族の会話が10年もない。そんなことにもなりかねません。
では、なぜ、妻は自己肯定感が下がっていると推測したのか。ソファ周りは夫のものが散らかり放題、つまり、夫の「なわばり」と化していました。妻は夫がくつろいでいるテレビとソファ周りに近づくことができません。そうなると、妻はダイニングの椅子に座るしかありません。でも、そこで好きな本を読もうにも、前からはテレビの音、隣に座る母は、自分の後ろを行き来する。みんなの邪魔者のようで、リビングで落ち着ける居場所がなかったのです。








