答えは、ソファの向きでした。このお宅の家族構成は、40代前半のご夫婦、60代後半の妻のお母さまの3人家族です。

 実はこのお宅の妻から最初にいただいたご相談は、「ダイニングの椅子が大きすぎて邪魔だから買い替えたい」というものでした。

 通常なら、どんな椅子をお望みなのか、ご要望をうかがうところです。でも、私が行っているやり方は違います。もっと深いところにある本当の望みを、お話を聞きながら探っていくのです。

 間取り図の家具の配置を見てください。リビングにあるテレビの前には2.5人掛けくらいのソファがあります。この間取りを見たとき「椅子を買い替えたところで、この家の本当の問題は解決しない」ということが推測できました。そして実際のリビングを見て「なるほど、そういうことだったのか」と思いました。テレビの前のソファとローテーブルの周りが、とても散らかっていたのです。

 そこで私は1つだけ質問をしました。

「奥さまは、いつもどこに座られていますか?」答えは私の予想通り、ダイニングテーブルに2つ並んでいる椅子の左側でした。

 この間取りから想像したのは、夫婦の会話があまりないのではないか、ということでした。妻と妻のお母さま、そして夫といった、女性と男性が分断して暮らしているのではないかと思ったのです。

 そしてもうひとつ。妻はリビングに居場所がなく、自己肯定感が下がっているのではないか、夫は家の中で疎外感を抱いているのではないかということです。

 なぜ、そんなことがわかるの? と不思議に思われるかもしれませんね。もちろん、私は超能力者ではありません。ちゃんと理由があるのです。