夫婦の片づけ夫婦間で起きている片づけ問題は「共同プロジェクト」と思って取り組むと解決しやすくなります Photo:PIXTA

家事代行サービス「タスカジ」の中でも、“予約の取れない家政婦”として大人気の「家族の片づけコンサルタント」seaさん。22年に及ぶ家事代行サービス歴で身につけた整理収納術で、家族と住まいの問題に切り込みます。今回は物を「捨てたい人」と「捨てたくない人」が同じ家に暮らす場合の上手な着地点の見つけ方を探ります。片づけのスキルや部屋に求める心地よさの定義が違う者同士が気持ちよく生活していくには、何に気をつければよいのでしょうか。上手に着地点を見つけるための、3つのアプローチをseaさんが解説します!

散らかすけれど捨てられる夫
散らかるのは嫌だけど捨てられない妻

『「いい夫婦の日」に関するアンケート調査』(明治安田生命保険相互会社(2018年))の中に、夫婦間の不満について尋ねた項目があります。これによれば、夫から妻への不満の第1位 (17.4 %)、妻から夫への不満の第3位 (17.9%)にランクインしたのが、「整理整頓ができない」でした。

 整理収納のサポートでたくさんのご家庭に伺っていると、片づけのお悩みがご夫婦・家族間の不満につながっていることが多いのを感じます。そしてこれは、部屋をスッキリさせればまるく収まる、という単純なものでもないのがよくわかります。例えば、奥様がこんな不満を抱えているケースがありました。

 子どもが生まれてから、みるみる物が増えた。もともと片づけは得意ではなかったうえに管理がいっそう難しくなった。妻である自分は、部屋が散らかっているのは嫌だけれど、物をなかなか捨てられないタイプ。実際に日々の片づけを担っているのは自分なので、なんとかしたい気持ちは募る一方だ。

 それに対して、夫はスイッチが入れば躊躇なく物を捨てられるものの、普段は物を出したら出しっ放しで、散らかっていても気にならないタイプ。たまに片づけをサポートしてくれるが、たいてい「じゃあ物を減らさないとね」とすぐに物を捨てる話にもっていこうとするので、自分とは全く噛み合わない。

 いつも散らかして私をイライラさせるくせに、気まぐれで片づけをするときはこちらの一番つらいところ(物を捨てること)を突いてくるので腹が立ってしまう。部屋にはムダな空間もあるし、そういう場所を生かすことで何かできそうな気もするのに……。