ジャニーズ事務所の元社長・故ジャニー喜多川氏による性加害問題や、ビッグモーターの保険金不正請求問題が世間を騒がせている。なぜこのような大それた不祥事が、長年放置されてしまったのだろうか。コーポレートガバナンスの専門家であるハーバードビジネススクール教授のチャールズ・ワン氏に、その根本的要因を聞いた。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
「誰からもチェックされない環境」が
経営者の暴走を加速させる
佐藤智恵(以下、佐藤) 日本ではジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題、ビッグモーターによる保険金不正請求問題が、連日、大きく報道されています。コーポレートガバナンスの専門家の観点から、両社の不祥事の根本的な要因をどのように分析していますか。
チャールズ・ワン(以下、ワン) 個別の事例についてお話しする前に、どんな状況が企業の経営者による不祥事を誘発してしまうのかについてお伝えしたいと思います。
まず、大前提として、どの不祥事の背景にも、経営者がアカウンタビリティー(株主・投資家に対して、企業の状況や財務内容を報告する義務)を果たさなくてもよい状況に置かれていることがあります。つまり、経営者としての行為を「誰からもチェックされない環境」が不祥事を起こす要因となっているのです。
では、なぜこのような状況に陥るのでしょうか。