イスラエルにおける戦争が世界経済に与える影響は、ガソリン小売価格より電気料金に明確に表れるかもしれない。中東情勢が緊迫化すると、反射的に原油のことが気にかかる。だが今回動きが大きかったのは天然ガス市場だ。天然ガスには、供給が打撃を受けた時の代替案がない。イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した7日以降、ブレント原油先物価格は6%上昇した。甚大な人的被害が出ているにもかかわらず、今のところ世界の原油供給には何の影響も及ぼしていない。ただ、紛争が拡大すれば状況が変わる可能性はある。イランが関わってくればなおさらだ。一方、欧州天然ガスの指標であるオランダTTF先物価格は、13日までの週に40%余り急騰した。イスラエルのエネルギー省は、紛争を理由にハイファの西にある海洋ガス田タマルの生産停止を米シェブロンに要請した。さらに、ガザ地区の近くを通ってエジプトまで伸びるガスパイプラインも閉鎖された。