米国でノンアルコールビールの販売が急増している。背景にあるのは品質と味の向上、そして飲酒文化に関する世代的な変化だ。ビール会社にとっては新たな成長源として歓迎すべき現象であると同時に、重点投資分野でもある。ビール売り場で買い物客が目にするノンアル商品の種類は増えており、中にはクラフトビールメーカーのものもあるが、 ハイネケン、バドワイザー、コロナ、さらにはギネスなど、業界の代表的ブランドのノンアル版も多い。ノンアルのワインやスピリッツ(蒸留酒)の人気も高まりつつあるが、売上高ではノンアルビールに遠く及ばない。米国ではビール、ハードセルツァー(アルコール入り炭酸飲料)、シードル(リンゴ酒)の売上高が新型コロナウイルス流行の1年目に急増したが、それ以降はおおむね停滞している。対照的に、ノンアルビールの売上高は9月9日までの52週間で前年比32%増、4年間の平均成長率は31%に達した(ニールセンIQ調べ)。興味深いことに特に若者に好まれており、若い世代の飲酒率が全体的に低下傾向にある中、ビールメーカーにとっては朗報だ。