NISAは「税金ゼロ(=非課税)」で株の売買ができる超オトクな制度。大注目を浴びています。でも何を買えばいいのか? そんな疑問に、あの優待名人・桐谷さんがお答えします。『一番売れてる月刊マネー誌ZAiと作った桐谷さんの株入門改訂版』から再構成してお届けします。
NISAの一番のメリットは税金がかからないこと!
NISAの一番のメリットは、利益に対して税金がかからない、ということです。
例えば100万円の株が200万円になったとします。100万円の利益に対して約20%の税金がかかりますから、手取りは80万円弱になってしまいます。それが、NISA口座で取引をすれば、100万円が丸々手に入るということ。この差は大きいですね。
大きく上昇する株を買えればオトク度は上がりますが、どの銘柄が上がるのかは誰にもわかりません。値上がり益だけを狙う取引はいわば「狩猟型」。大きな獲物を捕まえられれば大きく儲かりますが、逃げられたら自分が損をしてしまいます。
NISAのメリットは利益が出てこそ。損失が出てしまうとなんのメリットもありません。
高配当な銘柄こそNISAの非課税効果が生きてくる!
桐谷さんも株を始めたころは完全な狩猟型。値上がりだけを狙って痛い思いを何度もしてきました。
そういう経験を通して学んだのが「農耕型」の投資です。配当や株主優待を狙う方法で、いい銘柄を選んで持っていれば、配当や優待という果実を毎年のように得ることができます。
忙しい会社員や損を避けたいシニア層、これから株を始めようという初心者にはぴったりの投資法です。
そしてこの投資法は「NISA」にもぴったり。NISA制度は、配当にも税金がかからないからです。
ならば、新NISAで狙いたいのは高配当株。配当が出る株の中でも配当利回りが高いものを優先することが基本になります。NISAでは、短期的に売買を繰返して利益を稼ぐより、高配当株や優待株を買って、それを長く持って稼ぐほうが向いているのです。
銘柄選びの黄金ルールにも一工夫して効率アップ!
桐谷さんの銘柄選びの黄金ルールは、「『配当+株主優待』の利回り」が4%以上あること。4%以上あれば、株価が安いゾーンにあると判断します。
たとえば、配当が1株当たり10円、優待が100株で1000円の食事券という銘柄があるとします。
優待を1株当たりの金額に直すと1000円÷100株で10円、計20円相当が1年で得られる金額になります。
この銘柄の株価が400円なら、20円÷400円で5%というのが、「配当+優待」利回りの考え方です。
通常は配当が出ていなくても株主優待だけで4%以上あれば合格としています。ですが、そもそも通常の口座の課税対象は配当金だけ。これでは、通常の口座でもNISA口座でも差はありません。
株に投資したい金額がNISA枠に収まるのなら自由に買っていいのですが、NISA枠以上に株を買う予定があるのなら、どの口座を選ぶかで、節税効果が変わってくる、ということです。
たとえば、同じ利回り4%でも「優待4%」と「配当4%」なら、後者をNISA口座で持ったほうがオトクです。NISA枠では優待株は後回し。より節税効果が高い銘柄を選びましょう。
また、優待株の候補が複数あるのなら、配当の比率が高いほうをNISA枠で買うようにします。
最終的な損得は株価の値上がりまで見ないとわかりませんが、購入時点でそこまでは見通せないもの。どちらで買うかの目安とすると、いいでしょう。
※本稿は、桐谷広人、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ZAiと作った桐谷さんの株入門改訂版』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。
1949年10月15日、広島県竹原市生まれ。365日株主優待と配当で生計を立てる投資家。プロ棋士七段。バブル絶頂期の1984年に株を始め、バブル崩壊やITバブル、リーマンショックなど相場の浮き沈みを経験。資産は5億円目前。近著に『一番売れてる月刊マネー誌ザイと作った桐谷さんの株入門改訂版』『一番売れてる月刊マネー誌ザイと作った桐谷さんの米国株入門』の2冊が好評発売中。